MBSR(マインドフルネスストレス低減法)に興味があるけど、なかなか一歩を踏み出せない…
どんなことをするのか気になる…
このシリーズではそんなあなたのために、医師・MBSR講師である著者が、8週間のMBSRプログラムでは具体的に何をするのか週ごとに説明していきます✏️
今回の記事では前回の記事で書いた第6週に続き、終日クラスについてその概要を説明していきます!
前回の記事↓
(※本シリーズは米国Brown大学のMBSRカリキュラムガイドを参考に作成しました。講師の裁量でこの通りにならない場合もありますので、ご了承ください🙇♂️)
まずはMBSRの全体像を知りたいという方はこちらの記事をどうぞ。
著者プロフィール
MBSR終日クラスについて
MBSRの各クラスの中でも独特の存在感を放っているのがこの終日クラスです。
このクラスではたっぷり7時間程度をかけて瞬間瞬間の気づきを持続させるということに取り組みます。
スケジュールとしては例えば午前10時〜午後5時などです。
このクラスのメインパートでは基本的に他参加者とのコミュニケーションは取りません。
特別に用意された静寂の空間・時間の中で、慌ただしい日常から少し距離をおいて、「ただ存在していること」を実感する機会、またこれまでのプラクティスを統合する機会となります。
必要に応じ講師に相談することはできますのでご安心ください^^
MBSR終日クラスの内容
MBSR終日クラスの内容は以下の通りです。
今回は内容が多いですので、便宜上4パートに分けて、それぞれの概要を説明します。
実際にはこのように明確に別れているわけではなく切れ目なく行われるのですが、文章での説明上、このようにさせて頂きます。
◯短い静坐瞑想
◯初めのあいさつ
◯ガイドラインの説明
◯静坐瞑想
◯臥位のヨーガ
◯静坐瞑想
◯歩行瞑想
◯講師のお話
◯昼食
◯立位のヨーガ(または歩行のワーク)
◯慈悲の瞑想
◯マインドフルな散歩
◯静坐瞑想
◯沈黙を解く
◯グループでの対話
◯終日クラスを終えるにあたって
◯静坐瞑想
◯エンディング
【導入】
◯短い静坐瞑想
◯初めのあいさつ
◯ガイドラインの説明
今回も短い瞑想で始まります。
やらなければならないこと、考えなければならないことに満ちた日常からしばらくの間距離をとり、今日という1日は自分のために使う。
そんな決意に支えられた特別な環境に、マインドフルに移行していきます。
あいさつの後、終日クラスのガイドラインの説明があります。
ガイドラインには以下のようなものがあります。
セルフケアの原則
今までプラクティスを通じて培ってきた、セルフケアの原則をここでも大切にします。
自分の身体や心の声に耳を傾け、限界を超えないこと。
今の自分にとって不適切であると感じることは、講師のガイドであっても行わないこと。
また、水分摂取やトイレなどを自分のタイミングで行うこともセルフケアに含まれます。特に講師に許可を得る必要はありません。
沈黙を守ること
出さないだけでなく、身振り手振りやアイコンタクトを含めた他参加者とのコミュニケーションを取らないことも含まれます。
また携帯電話は基本的に電源をOFFとし、本を読んだりメモをとったりすることからも距離をとって1日を過ごします。
このような約束事によって、今までのプラクティスを統合し、体験や気づきを深めるための環境を整えることができます。
講師への相談
“沈黙”とはいえ、わからないことや困ったことがあった場合は、いつでも講師に相談することができます。
この点も広い意味ではセルフケアといえます。
【午前】
◯臥位のヨーガ
◯静坐瞑想
◯歩行瞑想
◯講師のお話
◯昼食
静坐瞑想〜歩行瞑想
ガイドラインの説明が終わると、プラクティスが始まります。
静坐瞑想と臥位のヨーガ、歩行瞑想を組み合わせながら、クラスが進んでいきます。
このようにMBSRの終日クラスでは静的な瞑想と動的な瞑想が交互に登場します。
日常の中で時間をとって行う日々のプラクティスと、今回のように丸1日を確保して行うプラクティスでは、気づきが異なるかもしれませんね。
講師のお話
その後、講師からマインドフルネスに関わるお話があります。
内容に決められたものはなく、講師やタイミングによってその都度変わります。
同じ話を聞いても、参加者によって気づきは様々です。
もしかしたら自分が今必要としているものに気づくきっかけになるかもしれません。
昼食
そして昼食の時間へと続きますが、今回のクラスでは昼食の時間も沈黙を保ちます。
もしかしたら普段は昼食の間もテレビを見たり、スマホを確認したり、あるいは周りの人とおしゃべりしたりしているかもしれません。
ここでは、第1週の課題となっていた「マインドフルな食事」を思い出してみましょう。
自分が食べているということに気づきながら食べる。
食事を感じとる。
静坐瞑想やヨーガの間も、そしてこのような食事という何気ない動作の間も、気づきの連続性を保つということが、非常に重要です。
途切れることなく「気づき続けている」とはどのような感じでしょうか?
【午後】
◯慈悲の瞑想
◯マインドフルな散歩
◯静坐瞑想
立位のヨーガ(または歩行のワーク)
午後も引き続きプラクティスを行っていきます。
ヨーガの場合もありますし、歩行のワークを行う場合もあります。
歩行のワークとは、色々な速度での歩き方を試しながらその際の感覚や心の動きを感じとるワークです。
早歩きをしているときに気持ちの変化はあるでしょうか?
また非常にゆっくり歩くと、どのように感じるでしょうか?
そのときの身体の感覚は…?
慈悲の瞑想
ここで慈悲の瞑想という瞑想を行います。
今まで行ってきたプラクティスとは少し感じが違うかもしれません。
慈悲の瞑想では、まず呼吸やアンカーに注意を集中し、安定した心を観察するところから始めます。
そして、自分自身に思いやりと慈しみの心を向けます。
思いやりの気持ちで満たされますように…
そうして、次は心の中に身近な特定の人を思い浮かべ、その人に同じように思いやりと慈しみの心を向けます。
パートナーや子ども、親、友人、誰を選んでも構いません。
思いやりの気持ちで満たされますように…
次に、今度は関係性が上手くいっていない人を思い浮かべ、その人にも同じように思いやりと慈しみの心を向けます。
えっ?なんでそんなことしないといけないの?と心に抵抗があるかもしれません。そんな自分にも優しくしてください。それは自然なことです。
ここではちょっと試しに、やってみましょう。
思いやりの気持ちで満たされますように…
もしかしたら抵抗が強く、続けられないかもしれません。
それはそれとして、そういう抵抗があることをただ感じていれば大丈夫です。
抵抗が比較的少ない別の人に対象を変えても良いかもしれません。
ひょっとしたら、その人に対する感じ方や、その人を嫌っている自分に対する感じ方が変わり始めていることに気づくかもしれません。
そうして次に、思いやりと慈しみの対象を広げて広げて、人間だけでなく、地球や宇宙のあらゆる生き物、存在までも一つに包むようにしてみます。
思いやりの気持ちで満たされますように…
最後にもう一度自分の呼吸・アンカーに戻り、全てのものに対する思いやりと慈しみの気持ちを抱いたまま、瞑想を終えます。
プラクティスを通じてマインドフルネスという器を培い、そこに思いやりと慈しみの水を注ぎ満たされたとき、溢れ出す水が身近な人を潤し、遠くの人を潤し、そして宇宙全体を潤し、全ての存在に深い癒しを与えることができる…そんな可能性を探求してみます。
そして自分以外の存在を癒すことがすなわち自分を癒すことであること、自分以外の存在を許すことがすなわち自分を許すことであること、もっと深く、自分以外の存在と自分は何も変わらないことにまで、気づきが深まるかもしれません。
慈悲の瞑想にはそのような力が備わっています。
…
ここまで読んで眉唾と思ったあなた。その気持ちはよく分かります(笑)
率直に言って私自身も、最初にこの瞑想のことを聞いたときは怪しいと感じました(汗)
しかし今となっては慈悲の瞑想は本質的な癒しの過程になり得るものと感じています。
なんでも鵜呑み(盲信)するのではなく、また食わず嫌い(拒絶)するのでもなく、試しにやってみる、自分自身で確かめてみるというのもマインドフルネスで大切にされている態度の一つです。
マインドフルな散歩
その後、外を散歩する時間が設けられます。
この際も沈黙と気づきを保ちながら、世界を感じ取ってみます。
1日の気づきのプラクティスのあとで、そして慈悲の瞑想のあとで、世界をどのように感じるでしょうか。
静坐瞑想
散歩から戻ってきたら静坐瞑想を行います。
【エンディング】
ついに1日の”沈黙”を解くときがやってきました。
まずは周囲とアイコンタクトをとることから始め、そして優しく小さな声で、隣の参加者と今日の体験を共有します。
次に全体でも共有を行います。
このように沈黙からの移行は段階的に行われます。
沈黙からの移行の最中にも、注意を現在の体験にしっかりと留めておくことを忘れないようにしましょう。
どんな体験でしたか?
大変だったことは?
それにどう対処しましたか?
沈黙の中で他の参加者はどのように感じていたのでしょうか?
いま心にあるものをマインドフルに共有してみましょう。
終日クラスを終えるにあたって
終日クラスも終わりに近づき、ここで日常に戻るにあたってのガイドが行われます。
終日クラスは人生の中でも特別な1日だったことと思います。
1日の沈黙の中で、普段よりも感受性が研ぎ澄まされている可能性があります。
一気に騒がしい日常に戻って圧倒されないよう、アンカーへの気づきを保ちつつ日常に移行することを心がけてください。
無理をしないこと、セルフケアの精神も心に留めておいてください。
静坐瞑想
最後に短い静坐瞑想を行います。
エンディング
参加者それぞれが短く一言ずつ、「今ここに何を感じるか」を表現し、気づきを集めて終日クラスを終えます。
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文字で読んでも実際に体験してみないと分かりにくいですよね😅
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